コラム

店長候補の中途採用で応募が来ない理由と、求人票の直し方|飲食・小売の本部・人事向け

店長候補の中途採用で応募が来ない理由と、求人票の直し方|飲食・小売の本部・人事向け
※写真はイメージです

店長候補の求人を出しているのに、応募がほとんど来ない。来ても経験や希望が合わない。飲食・小売の本部や人事の方から、この相談をよくいただきます。

結論から言うと、原因の多くは求人票から、どんな店で、何を任され、どう評価され、どう休めて、その先に何があるかが読み取れないことにあります。時給や月給の数字を上げる前に、求人票の情報の組み立てを直すだけで、応募の数と質は変わります。

この記事では、厚生労働省の一次情報で採用環境を確認したうえで、応募が来ない理由と求人票の直し方を、修正前→修正後の文例で整理します。

この記事でわかること

  • 店長候補の採用環境(有効求人倍率・入職率と離職率の一次情報)
  • 応募が来ない5つの理由と、求人票の直し方(文例つき)
  • 媒体の選び方とスカウトの使い方の考え方
  • 求人票を出す前のチェックリスト

※この記事の情報は2026年10月11日時点のものです。

目次
  1. 店長候補の採用環境|飲食の調理・接客は求人が求職者の2倍以上
  2. 応募が来ない5つの理由
  3. 求人票の直し方|修正前→修正後の文例
  4. 媒体の選び方とスカウトの考え方
  5. 求人票を出す前のチェックリスト
  6. まとめ

店長候補の採用環境|飲食の調理・接客は求人が求職者の2倍以上

まず、数字で環境を確認します。厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2026年8月の有効求人倍率(職業計・常用・パートを含む)は1.06倍ですが、飲食物調理従事者は2.21倍、接客・給仕職業従事者は2.31倍です。求職者1人に対して、求人が2件以上ある状態です。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」参考統計表6(2026年10月2日公表)

職業(常用・パート含む)有効求人倍率(2026年8月)
職業計1.06倍
飲食物調理従事者2.21倍
接客・給仕職業従事者2.31倍

図1:有効求人倍率の比較(2026年8月・常用・パートを含む)

職業計1.06倍
飲食物調理2.21倍
接客・給仕2.31倍

数字は本文の表と同じ(厚生労働省)。店長候補に限った数字ではありません。

人の動きも大きい業界です。厚生労働省「雇用動向調査」では、2025年の「宿泊業,飲食サービス業」の一般労働者の入職率は24.4%、離職率は21.5%で、いずれも主要産業で最も高い水準でした(産業計はそれぞれ12.0%、11.4%)。

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」産業別の入職と離職(表4-2)

これらは調理・接客の職業全体の数字で、店長候補に限ったものではありません。それでも、店長候補になりうる経験者は転職市場に出てくる人数自体は多い一方で、求人も多いため、求人票で選ばれなければ埋もれます。「応募が来ない」の多くは、市場に人がいないのではなく、自社の求人票が比較の土俵に乗っていない状態です。

応募が来ない5つの理由

店長候補クラスの求職者は、現職で店を回している人が中心です。忙しい中で求人票を読むので、判断に必要な情報が無い求人は読み飛ばされます。応募が来ない求人票には、次の5つのどれかが欠けていることがほとんどです。

1. 仕事内容が「店舗運営全般」で終わっている

店長経験者が知りたいのは、売上責任の範囲、発注や原価管理の有無、シフト作成と人員計画、アルバイトの採用・教育をどこまで任されるかです。「店舗運営全般」の一言では、自分の経験が活きるかどうか判断できません。

2. 裁量がどこまであるか分からない

メニューや販促、採用の決定権が店長にあるのか、本部が決めるのかで、仕事の面白さは大きく変わります。裁量の範囲が書かれていない求人は、決められたことをやるだけの店長に見えてしまいます。

3. 評価と昇給の仕組みが見えない

「昇給あり」「賞与あり」だけでは、何をどれだけ達成すれば給与が上がるのかが分かりません。店長候補は数字で店を見ている人なので、評価の基準が曖昧な求人には不安を感じます。

4. 休日と勤務時間の実態が書かれていない

「月8日休み」とだけ書かれても、土日に休めるのか、連休は取れるのか、繁忙期の実態はどうかが分かりません。飲食・小売の経験者ほど、ここを厳しく見ます。隠しても面接や入社後に分かることなので、先に書いたほうが結果的に辞退を減らせます。

5. キャリアの道筋がない

店長の次に何があるのか。エリアマネージャー、新店の立ち上げ、本部職、独立支援など、会社によって道は違います。道筋が書かれていない求人は、店長が最終地点だと読まれます。

図2:応募が来ない5つの理由と、求人票に書くこと

  1. 1. 仕事内容売上責任の範囲、発注・原価管理、シフト作成、採用・教育の担当範囲
  2. 2. 裁量店長が決められることと、本部が決めることの両方
  3. 3. 評価と昇給評価の時期と項目、昇給・賞与への反映のしかた
  4. 4. 休日と勤務時間土日の扱い、連休、繁忙期の残業の実態
  5. 5. キャリアの道筋店長の次にある役職や役割(実際にある道だけ)

求人票の直し方|修正前→修正後の文例

以下の文例は、説明のために作成した架空の例です。実在の企業や店舗の求人ではありません。自社の実態に合わせて書き換えてください。

見出し(職種名)

修正前の例

店長候補(正社員)

修正後の例

店長候補|売上と人員計画を任せる店舗責任者。入社後3〜6ヶ月で店長へ

見出しで、任せる内容と店長になる時期を示します。媒体の検索結果一覧では見出ししか読まれないので、ここに判断材料を置きます。

仕事内容

修正前の例

店舗運営全般をお任せします。

修正後の例は次のとおりです。

  • 売上・原価・人件費の月次管理(目標は本部と相談して設定)
  • 月のシフト作成とアルバイトの採用・教育(採用の最終判断は店長)
  • 販促の企画は店長の裁量で実施可(本部の承認は不要、予算は月5万円まで)
  • 入社後の流れ:1〜2ヶ月目は副店長として現場と数字の引き継ぎ、3ヶ月目以降に店長として独り立ち

何を、どこまで、いつからを分けて書くと、経験者は自分の経験と照らし合わせて読めます。裁量の範囲は、できることだけでなく「本部が決めること」も正直に書いたほうが信頼されます。

給与の内訳

修正前の例

月給28万円〜35万円(経験・能力による)

修正後の例

月給28万円〜35万円。内訳は基本給24万円〜30万円と、固定残業代20時間分4万円〜5万円。超過分は別途支給

固定残業代を含む場合は、時間数と金額を明記します。内訳が無い求人は、実際の手取りが読めないとして敬遠されます。固定残業代の表示は、法令上の要件もあるため、記載方法は社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

休日・勤務時間

修正前の例

月8日休み、シフト制

修正後の例は次のとおりです。

  • 月8日休み(シフト制)。土日のどちらか1日は月2回以上休めるようシフトを組んでいます
  • 連休は月1回まで申請可。年末年始・GWは繁忙期のため交代制
  • 実働8時間。繁忙期は月平均15時間の残業があります(直近1年の実績)

良いことだけを書くのではなく、繁忙期の実態まで書くのがポイントです。経験者はきれいな求人票ほど疑います。実態を書いた求人のほうが、応募後の辞退が減ります。

評価とキャリア

修正前の例

昇給あり、賞与あり

修正後の例は次のとおりです。

  • 評価は半年ごと。売上達成率、人員の定着、衛生管理の3項目で評価し、昇給と賞与に反映
  • 店長の次のキャリア:エリアマネージャー(複数店舗の統括)、新店の立ち上げ責任者、本部の教育担当のいずれか。希望を聞いたうえで決めます

評価項目が3つ程度に絞られていると、求職者は自分ならこうやると想像できます。キャリアの選択肢は、実際にある道だけを書きます。

媒体の選び方とスカウトの考え方

求人票を直したら、次は届け方です。店長候補の採用では、アルバイト採用と同じ媒体の使い方では成果が出にくいことがあります。

媒体は「経験者が転職活動で見ている場所」で選ぶ

アルバイト採用で実績のある求人検索エンジンやアルバイト媒体だけで店長候補を募集しても、経験者が見ていなければ応募は来ません。転職サイト、スカウト型の媒体、人材紹介会社など、現職で働きながら次を探している人が見ている場所に求人を置く必要があります。

スカウトは「数」より「1通の中身」

スカウト型の媒体では、条件に合う候補者を選び、一人ひとりに合わせて文面を変えて送ります。テンプレートを大量に送っても、店長経験者の目には止まりません。

当社が飲食店の管理職採用でビズリーチのスカウト代行を担当した事例では、月300通のスカウトを候補者ごとに文面を変えて送付し、スカウトの反響率は従来の2.5倍になりました。詳しくは飲食店の管理職採用におけるビズリーチスカウト代行の事例をご覧ください。

人材紹介会社には「求人票と同じ情報」を渡す

人材紹介会社に依頼する場合も、求人票の情報量がそのまま推薦の質になります。紹介会社の担当者が候補者に説明できる材料(仕事内容、裁量、評価、休日、キャリア)を渡し、推薦があったら素早く返事をする。この運用を続けると、紹介会社からの推薦は増えていきます。

当社が飲食事業を展開する企業グループの中途採用を代行した事例では、年間採用人数が15名から20名へ増え、1名あたりの採用単価は120万円から100万円へ下がりました。詳しくは飲食企業グループの採用代行(RPO)の事例をご覧ください。

求人票を出す前のチェックリスト

  • 見出しに、任せる内容と店長になる時期が入っている
  • 仕事内容を売上、人員、販促、採用などの項目に分けて書いた
  • 店長の裁量と、本部が決めることの両方を書いた
  • 給与は基本給と固定残業代(時間数・金額)の内訳を明記した
  • 休日は土日の扱い・連休・繁忙期の実態まで書いた
  • 入社後の流れ(副店長期間の有無、店長になる時期の目安)を書いた
  • 評価項目と、店長の次のキャリアの選択肢を書いた
  • 求人を出す媒体は、経験者が転職活動で見ている場所になっている
  • スカウトは候補者ごとに文面を変える体制がある

まとめ

  • 飲食物調理・接客・給仕の職業は、求人が求職者の2倍以上(2026年8月、厚生労働省)。店長候補に限った数字ではないが、応募が来ないのは人がいないからではなく、求人票が比較の土俵に乗っていないことが多い
  • 店長候補が求人票で見ているのは、仕事内容、裁量、評価、休日、キャリアの道筋の5つ
  • 修正前→修正後の文例のように、何を、どこまで、いつからを分けて具体的に書く
  • 届け方は、経験者が見ている媒体を選び、スカウトは1通ずつ文面を変える

求人票の見直しから媒体運用、スカウトの送付、人材紹介会社との窓口まで、社内で手が回らない部分は採用代行(RPO)で分担できます。飲食・小売の多店舗企業の場合は、店舗の採用実務を本部とつながる仕組みにするHreee Foodsもご覧ください。まずは、いまの求人票と応募状況からご相談いただければと思います。

※この記事の情報は2026年10月11日時点のものです。統計の最新値は厚生労働省「一般職業紹介状況」および厚生労働省「雇用動向調査」をご確認ください。

コラム一覧へ戻る